描く、そして現れる
―画家が彫刻を作るとき

「描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき」展を開催予定です。

2019年9月14日(土) - 12月8日(日)

時間:
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜(ただし9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
主催:
DIC株式会社
協力:
株式会社キュレイターズ

入館料

  • 一般 1,300円
  • 学生・65歳以上 1,100円
  • 小中学生・高校生 600円

団体(20名以上):

  • 一般 1,100円
  • 学生・65歳以上 900円
  • 小中学生・高校生 500円

障がい者手帳をお持ちの方
(付き添い1名まで同料金):

  • 一般 1,000円
  • 学生・65歳以上 800円
  • 小中学生・高校生 400円

※各種割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です

※本チケットでコレクション展示もご覧いただけます

概要

画家が彫刻を作る、とは特別なことでしょうか?
歴史を遡れば、ルネッサンス期には有名なレオナルド・ダ・ヴィンチやその師のアンドレア・デル・ヴェロッキオら、多くの「画家であり、彫刻家でもある芸術家」たちの名前が、「芸術家列伝」(ジョルジョ・ヴァザーリ著)に記されています。
とはいえ、その後は分業化が進みます。彫刻家が常にデッサンをし、時に絵や版画を残したのに比べると、画家が彫刻を本格的に制作した例は大変少なくなります。

近代になると、印象派の幾人かの画家たちがすぐれた彫刻を制作したことは知られています。エドガー・ドガ、オーギュスト・ルノワール、そして同時代のオノレ・ドーミエらが熱心に彫刻を制作しています。彼らは自分の絵の中にいる人物たちを立体にして現したのでした。ポール・ゴーギャンもタヒチの民芸品に学んだ注目すべき彫刻を制作しました。

そして20世紀、前衛画家たちは、絵の中で行いつつある様々な造形の実験を、3D化しようと試み始めます。
自由に描きだせる絵の世界から踏み出して、重力ある空間のなか、材料を選び、筆を道具に持ち替えて、画家はなぜ彫刻を作るのか。それらは彼らの絵とどのような関係を結んでいるのか。それらは単なる素人の彫刻なのか、それとも?
本展では描くなかから生み出された、20世紀前衛画家たちの彫刻制作の一端をご覧いただきます。画家の絵と彫刻を並べて見るとき、彼らの意図が伝わってくるはずです。

※会期中に展示替えがあります
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パブロ・ピカソ《水浴者》1961年頃
彫刻の森美術館
©️ 2019 - Succession Pablo Picasso - BCF (JAPAN)
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パブロ・ピカソ《レオニ―嬢》1910年
DIC川村記念美術館
©️ 2019 - Succession Pablo Picasso - BCF (JAPAN)

各章のご紹介

1. 絵画の実験から彫刻へ

パブロ・ピカソが立体物を平面上に描き出す新しい方法、キュビスムに取り組んだとき。未来派の代表的な画家のひとり、ジャコモ・バッラが現代社会のスピード感をどう描き表すかを追及していたとき。ルネ・マグリットが現実にはあり得ない状況を絵の中に出現させて、シュルレアリスムならではの不思議な世界を追及していたとき。彼らは絵の中で自分が繰り広げた描写の実験を、彫刻にしました。
自然主義の描写とは全く異なる、前衛画家たちの新奇なヴィジョンは、彫刻に作り直され現実空間に置かれて、実体になります。

出品作家

パブロ・ピカソ、ジョアン・ミロ、ルネ・マグリット、クルト・シュヴィッタース、ジャコモ・バッラ、岡本太郎、ウィレム・デ・クーニング、サイ・トゥオンブリー

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ジャコモ・バッラ
《”二重奏” バル・ティク・タクのバレリーナ》1920/22年
ふくやま美術館
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ジャコモ・バッラ《輪を持つ女の子》1915年
ふくやま美術館
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ウィレム・デ・クーニング《風景の中の女Ⅵ》1968年
広島市現代美術館
© 2019 The Willem de Kooning Foundation, N.Y. / ARS, N.Y. / JASPAR, Tokyo
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ウィレム・デ・クーニング《脚をくむ人物》1972年
前澤友作コレクション
© 2019 The Willem de Kooning Foundation, N.Y. / ARS, N.Y. / JASPAR, Tokyo
B0421

2. 反絵画としてのオブジェ、あるいは彫刻

絵画と呼ばれるジャンルを疑い、これまで「絵」だとされてきたものを解体しようとする画家たちが、1960年頃から現れます。何かを絵に描くよりも前に、絵とは何なのか考え直そうとする態度です。

ジャスパー・ジョーンズは、絵を平たい物体として見直しました。彼が一枚の布である旗を画布に描いて見せるとき、「絵と絵でないものの関係」は揺らぎ始めます。東京で個展を開催するなど、ジョーンズは日本の作家たちにも大きな影響を与えました。
菊畑茂久馬はその課題を受け継ぎ、「絵と絵でないものの関係」、すなわち絵画性と物質性の関係を究極的なかたちで凝縮し〈天動説〉シリーズに到達しています。

早世したピエロ・マンゾーニの「絵画=物体観」は飛びぬけていました。彼が直線をひき続け、線を長さで測って紙筒に入れてサインするとき、描画はこれまでとは全く異なる、特殊なオブジェとして見えてくるでしょう。

出品作家

マルセル・デュシャン、リチャード・ハミルトン、ピエロ・マンゾーニ、ジャスパー・ジョーンズ、菊畑茂久馬、高松次郎、山口勝弘

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菊畑茂久馬《天動説 八》1983年 宮城県美術館
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ピエロ・マンゾーニ《アクローム》1961年 ふくやま美術館
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ピエロ・マンゾーニ《無色》1958/59年 豊田市美術館

3. ポップアートとミニマルアート:絵画空間の実体化

ポップアートの作家たちは、量産品の匿名性をもつイメージを採り上げ、描くだけでなく立体化しました。虚構と反復のイメージは実体化され存在感を得て、実体と虚像の境界を揺るがせます。

草間彌生のソフトスカルプチュアの素材は、まずはカンヴァスから始まりました。モノクロームに塗られ、自立せず椅子など日用品の枠に群生するそれらは、作家が当時制作していたネットペインティングの延長にあるといえます。

絵画空間をいち早く実体物として表そうとしたのは、フランク・ステラやドナルド・ジャッドでした。独自の理論を構築し、物体としての絵画を目指したステラは、描かれた図像と画面の形態を一致させるシェイプト・カンヴァスを考案しました。

出品作家

草間彌生、クレス・オルデンバーグ、ロイ・リキテンスタイン、ジム・ダイン、フランク・ステラ、ドナルド・ジャッド、ソル・ルウィット

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ロイ・リキテンスタイン
《筆触に反射》(〈反射シリーズ〉より) 1990年
公益財団法人 DNP文化振興財団
Estate of Roy Lichtenstein, N.Y. & JASPAR, Tokyo, 2019
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ロイ・リキテンスタイン
《筆触Ⅴ》(〈筆触シリーズ〉より) 1986年
公益財団法人 DNP文化振興財団
Estate of Roy Lichtenstein, N.Y. & JASPAR, Tokyo, 2019
B0421

4. 絵画の向こう側:映像と空間

ミニマリズム以後、「画家の彫刻」は、現実空間に展開するインスタレーションのスタイルをとることが多くなりました。画家の彫刻は、1980年代に曲がり角を迎えたのかもしれません。ここでは、いわゆる彫刻以外の方法で画布を遠くまで踏みこえた画家を紹介します。

写真を契機とした彼らの問題は、「写真を絵にする」ということではありませんでした。中西夏之は、ドローイングを撮影してデジタル分解し、拡大する過程で、元々はなかった色彩を出現させて見せました。
それを中西は絵の「拡散」と呼び、絵が言わば遠く離れて別の空間を獲得するイメージでとらえました。絵とは何でありうるか、それを考える方法はより多様に拡がっていきます。

出品作家

榎倉康二、中西夏之、五十嵐英之


会期中のイベント

※詳細・ご予約方法は随時更新いたします。

ゲストによるトークイベント 要予約

①小林正人(画家)×奈良美智(画家・彫刻家)
「画家だから、木枠を踏み出す、踏みこえる」
 10月12日(土)
入館料のみ


②長島有里枝(写真家・作家)× 石田尚志(画家・映像作家)
「写す、そして現れるー空間のなかへ」 
11月16日(土)
入館料のみ


学芸員によるギャラリートーク

9月14日(土)、11月30日(土) 14:00-15:00
予約不要|14:00エントランスホール集合|入館料のみ
 

ガイドスタッフによる定時ツアー

上記イベント開催日を除く毎日 14:00-15:00
予約不要|14:00エントランスホール集合|入館料のみ
 

ミュージアムコンサート 要予約

蓮沼執太(音楽家、アーティスト)
10月26日(土) 18:00開場 / 18:15開演
受付開始=友の会 8月27日(火) 10:00
     一 般 8月30日(金) 10:00