コレクション♪リコレクション VOL. 2

色彩のラプソディー

2013年7月27日(土) - 12月15日(日)

時間:
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜(ただし9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日(火)、 9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
主催:
DIC株式会社
後援:
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会

入館料

  • 一般 900円
  • 学生・65歳以上 700円
  • 小中学生・高校生 500円

団体(20名以上):

  • 一般 800円
  • 学生・65歳以上 600円
  • 小中学生・高校生 400円

障害者手帳をお持ちの方
(付き添い1名まで同料金):

  • 一般 700円
  • 学生・65歳以上 500円
  • 小中学生・高校生 300円

※各種割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です

概要

年間を3期に分け、全館において当館の収蔵品をご紹介する「コレクション♪リコレクション」の第2弾では、これまで展示される機会の少なかった作品も取上げながら、3つの企画展を同時開催いたします。
当館でしか出会えないラインナップと、それぞれの空間に流れる時間を、庭園の四季風景とともにお楽しみください。

フランク・ステラ・ルーム

当館を代表するアメリカの現代作家、フランク・ステラの大型作品16点をご紹介します。
フランク・ステラ(1936-)はプリンストン大学で美術史を学ぶ傍ら、ウィリアム・サイツなどから絵画を学び、本格的に画家を志します。当初はロスコやゴッドリーブなどの抽象表現主義の影響を受けながら制作を続けるとともに、ニューヨーク市内の美術館や画廊に頻繁に足を運び自己の絵画スタイルを模索していました。

この頃、レオ・キャステリ画廊で初めてジャスパー・ジョーンズの《旗》と《標的》を見て新たな方向性を直観したステラはそれまでのスタイルを捨て、新たに最小限の色彩と幾何学的構成からなる連作、<ブラック・シリーズ>を制作し、ニューヨーク近代美術館の学芸員ドロシー・ミラーによる企画展「Sixteen Americans」に23歳の若さで出品しアメリカの美術界に衝撃を与えました。

 この後、ステラは「絵画として意図されたオブジェ」の可能性に着目し、変形のキャンバス「支持体」を独自に考案し、幾何学的構成による色彩豊かな絵画を展開します。 さらに、画面上の「図」と「地」の関係を完全に分離させた金属製の大型レリーフへとそのスタイルを大胆に進展させ、名実ともに現代を代表する美術家として多くの美術館に作品が収蔵され、たくさんの展覧会が各国で開催されてきました。77歳を迎えた現在も、建築的要素を取り込んだ新たな作品を制作しています。

 世界的にも有数な当館のステラ・コレクションの特徴は、初期の<ブラック・シリーズ>を代表する《トムリンソン・コート・パーク(第2ヴァージョン)》(1959)から、独立した立体作品ともいえる《セコイア》(1991)までの約35年間にわたる制作の流れを一望に展観できるところにあるといえるでしょう。

フランク・ステラ年譜(PDF:188KB)

エーリヒ・ブラウアー《ソロモンの箴言より》

エーリヒ・ブラウアー(1929年-)はウィーン幻想派を代表する画家のひとりとして知られています。《ソロモンの箴言より》(1970-71年)は、旧約聖書の「箴言」から抜粋したテクストをもとに制作された12枚の連作版画です。人間の愚かな行いを戒め、人生の知恵を授けるものとして伝えられてきた「箴言」の言葉を、ブラウアーは現実と夢想の交錯する不思議な光景に描き出しました。
本展では、当館初公開となる《ソロモンの箴言より》12点および聖書に関連した3点の作品をご紹介します。

《ソロモンの箴言より》の画面にはアメーバやクラゲを思わせる物体が浮遊したり、人物の身体と交わったりしています。その色彩は熟した果実のように濃密で、自ら発光するかのような輝きを伴っており、絶え間なく流動する生命体のようです。
こうした描写は、人が心の奥底に抱える不安や悪夢を掘り起こすように感じられますが、同時にブラウアーの画面は現実を超えた不思議な世界へと私たちを導きます。画面は静寂に満たされており、暴力的でグロテスクな描写と、近未来的なヴィジョン、幻想性、ユーモアが交錯し、その深い夢想の中で「箴言」の言葉が繰り返し低く響くように感じられるでしょう。

ブラウアーは美術の道を歩み始めた頃に北アフリカやイスラエルなど各地を放浪し、時には音楽やダンスで稼ぎながら滞在を続ける日々を送りました。またヨーロッパの絵画伝統によらず、インドやペルシャの細密画法を取り入れています。
ブラウアーの作品の魅力は、ユダヤの家系に生まれ育った自らのルーツと信仰、芸術都市ウィーンという環境、各地を放浪し多様な風土や文化を吸収した経験、そして類い稀な想像力が結合して生み出されたと言えるでしょう。



エーリヒ・ブラウアー Erich Brauer (Arik Brauer) 略歴

1929年1月4日、ウィーンに生まれる。リトアニアからの移民でユダヤ系の父は靴職人。少年期にナチスによるユダヤ人迫害や強制労働を体験。1945年にウィーンの美術アカデミーに入学、翌年よりギュータースローに師事する(46-51年)。この間(49-53年)、ウィーン市のコンセルヴァトリーで歌唱法を学ぶ。1950年代にはフランス、スペイン、北アフリカ、ギリシャ、イスラエルを訪れ、各都市に滞在中は歌手・ダンサーとして生活資金を稼いだ。1955年にユダヤ系女性のNeomi Dahabanyと結婚、後にTimna、Talija、Ruthの3人の娘を授かる。結婚と同時期に自身の名をドイツ語のエーリヒ(Erich)からヘブライ語で「神のライオン」を意味するアリク(Arik)に変更。1956年、ウィーンで初めての個展を開催。1960年代から本格的に絵画制作に取り組み、以後パリ、ウィーン、イスラエルを拠点に活動。1960-70年代を通じて、ヨーロッパとアメリカの各地の画廊で作品が紹介された。1965年、サンパウロ・ビエンナーレに出品。1974年、ウィーンのアルベルティーナ絵画館で版画作品による大規模な展覧会が開催され、ヨーロッパ各地を巡回。1979年にはニューヨークのユダヤ美術館で回顧展が開かれた。1980年代以降はウィーンの分離派美術館など国内外の美術館で展覧会が開催され画家としての評価を確立、複数の自著、研究書が出版されている。またブラウアーはミュージシャンとして数々のアルバムをリリースしており、絵画と音楽の両面に渡る彼の活動は21世紀の今日までたゆみなく続いている。

絵画の時間

初めて眼にする絵画に、眼差しを向け軽やかに鑑賞する。ウィットに富んだ絵との対話は、美術の知識がないと出来ないのでしょうか。何かを知っていれば会話がスムーズに成り立つことは確かですが、会話そのものを楽しむために必ずしも必要というわけではありません。

コレクションによる企画展「絵画の時間」は、約60点の作品を「線」という要素に注目し、絵画を楽しむひとつの手がかりとして企画されました。難解にみえた作品のユーモラスな表情、つまらないと思われた作品のユニークな部分、見慣れた作品の新たな一面、それらを発見する悦びは、作品を見る私たちの意識と視線をほんの少し変えることで可能となります。あなたの絵画の時間が、いま始まります。

会期中のイベント

フロアレクチャー

8月10日(土) 15:00-16:30
講師:八重樫春樹氏(美術史家、元国立西洋美術館学芸課長)
作品を一緒に鑑賞しながら時代背景や作家についてお話いただきます。
当日14:00から館内受付で整理券を配布(一般先着30名/友の会優先予約あり)


学芸員によるギャラリートーク

8月3日(土)、9月7日(土)、10月5日(土)、10月26日(土)、11月16日(土)
14:00-15:30
各企画の担当学芸員が展覧会の解説を行ないます。
予約不要/エントランスホール集合


ガイドツアー

毎日14:00-15:00(フロアレクチャー、ギャラリートーク開催日を除く)
ガイドスタッフがコレクション展示と企画展をご案内します。
予約不要/エントランスホール集合


ワークショップ

「アートとあそぶなつやすみ」要予約
8月11日(日)、8月17日(土)、8月18日(日)
会場:庭園内第一休憩所
対象:小学生以上
参加費:小中学生・高校生1,500円/一般2,000円
宝箱の万華鏡づくり、あめ細工体験、作曲&演奏会などを予定しています。


ミュージアム・コンサート

朴葵姫(パク・キュヒ) ギター・リサイタル「心に染み渡る“天使のトレモロ”」
9月21日(土) 開場17:45/開演18:00
一般3,000円/小中学生・高校生2,000円/友の会会員2,500円