ゆらぎ 
ブリジット・ライリーの絵画

2018年4月14日(土) - 8月26日(日)

時間:
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜(ただし4月30日、7月16日は開館)、5月1日(火)、7月17日(火)
主催:
DIC株式会社
後援:
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会
企画協力:
ブリジット・ライリー・スタジオ、デイヴィッド・ツヴィルナー

入館料

  • 一般 1,300円
  • 学生・65歳以上 1,100円
  • 小中学生・高校生 600円

団体(20名以上):

  • 一般 1,100円
  • 学生・65歳以上 900円
  • 小中学生・高校生 500円

障がい者手帳をお持ちの方
(付き添い1名まで同料金):

  • 一般 1,000円
  • 学生・65歳以上 800円
  • 小中学生・高校生 400円

※各種割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です

概要

ブリジット・ライリー(1931-)は、幾何学的パターンによって画面に動きをもたらす抽象絵画で知られるイギリスの芸術家です。ロンドンのゴールドスミス・カレッジとロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学んだライリーは、大学卒業後に教員や商業美術の仕事につきながら制作活動を続けました。初期作品はジョルジュ・スーラに影響を受けた風景画でしたが、ルネサンス以降の巨匠や印象派の絵画、点描技法を研究し、単純化・抽象化のプロセスを学ぶことで自身の創作を深めてゆきました。


1960年代に入ると、白と黒のみを用いた完全に抽象的な作品を発表します。これがニューヨーク近代美術館の学芸員の目に留まり、歴史的な展覧会『レスポンシヴ・アイ(応答する眼)』(1965年)で紹介されるや「オプ・アート」の旗手として一躍注目を集めます。1967年に代表作となる波形のストライプパターンに色彩を導入した作品群を制作し、画面に大きなうねりや揺らぎを感じさせる独自の画風で、美術界における画家としての地位を確かなものとしました。以降、「色」と「形」の相互作用を駆使して、人々の眼に強く訴える作品を次々に展開し、現在も多くの人をその作品で魅了し続けています。


本展は1960年代の代表的な黒と白の作品、1970年代を中心としたストライプ作品、1990年代の曲線をもちいた作品、そして近年のウォール・ペインティングを含む約30点を紹介し、あらためてライリー作品の魅力に迫る、わが国で38年ぶりとなる展覧会です。

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《ここから》1994年
油彩、リネン 156.2 × 227.3 cm 個人蔵
All works by Bridget Riley on this website:
© Bridget Riley 2018, all rights reserved.
Courtesy David Zwirner, New York/ London.
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《賛歌》1973年
アクリル、カンヴァス 289.5 × 287.3 cm 東京国立近代美術館
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《アレスト I 》1965年
乳剤、カンヴァス 178 × 174.5 cm 北海道立近代美術館

見どころ


1990年代から世界的に再評価が高まっているライリーの日本で38年ぶりの展覧会。本邦初公開の代表作を含む31点をご覧いただける貴重な機会です。

静止しているはずの絵がゆらぐ?「オプ・アート」

ライリーの絵をじっと見つめると、乗り物酔いに似た感覚に陥るかもしれません。繰り返す幾何学パターンと色の組み合わせを脳が処理する際、図像が動いているように知覚して平衡感覚を失うのです。こうした効果をもたらす絵画「オプ・アート」は1960年代に隆盛を極めた絵画様式で、色彩理論と心理学、知覚生理学をもとに考案されました。先駆者といわれるヴィクトル・ヴァザルリ(1906-97年)とならび、ライリーはオプ・アートの代表的な画家として知られています

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《正方形の動き》1961年
テンペラ、板 123.2 × 121.3 cm
アーツ・カウンシル、ロンドン

新印象派よりも印象的に。スーラの先へ進化した絵画

若き日のライリーが独自の絵画を模索するなかで新印象主義の画家ジョルジュ・スーラの研究を行ったことは、その後の道のりを照らす大切なプロセスとなりました。スーラが編み出した点描技法は人の眼の生理機能を利用した画期的なものでした。ライリーは模写を通じてその表現領域を抽象に発展させ、自然から受けるゆらめくような印象と同等の視覚的効果を自身の絵画で実現すべく探求し始めました。特に1975年以降の作品では、色と光の相互作用が重要な役割を果たし、「鑑賞者が見たときにはじめて光が生まれる色の状況」を提示することに成功しています。

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《朝の歌》1975年
アクリル、カンヴァス 211 × 272 cm DIC川村記念美術館

展覧会会期中のみ出現する壁画

本展出品作のうち、天地228.6㎝ x 左右426.7㎝と、ひときわ大きな作品《ラジャスタン》は、展覧会が始まる直前に完成し、終了とともに姿を消します。本作は、イギリスとオーストラリアから来日するライリーの助手たちが展示室の壁に鉛筆とアクリル絵の具で直接描き、完成させる壁画作品です。ライリーは1960年代からアシスタントを使って制作をしています。方眼紙に色鉛筆で描いたり、色紙を切り貼りしたり、組み合わせのバリエーションを試す習作を繰り返し、その結果できあがった構図をもとにアシスタントがカンヴァスや壁に描くのです。

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《ラジャスタン》2012年 鉛筆、アクリル、壁 228.6 × 426.7 cm シュトゥットガルト州立美術館 友の会

芸術家としての社会的貢献

ライリーの活躍は絵画の革新にとどまらず、社会にさまざまな影響を与えています。

アメリカの著作権制度に一石を投じる

ニューヨーク近代美術館で「オプ・アート」が紹介されると、瞬く間にライリーの作品がファッションやグラフィックデザインに転用され、ニューヨーク中のショーウィンドウを飾りました。ライリーは作品が無制限に商業利用される状況に愕然としますが、当時のアメリカは著作権を保護する国際条約を批准しておらず、打つ手がありませんでした。しかし、この一件が芸術家たちを奮起させ、制度の改正を促したと言われています。

同時代の芸術家をサポート

今年で設立50周年を迎える芸術家主導の団体「SPACE」は、1968年にライリーと友人たちが共同で立ち上げた組織です。ファインアートを志す芸術家たちに低価格でスタジオ物件を貸し出し、技術向上のプログラムや作品発表の場を提供するなど、いまも活発に運営が続いています。

巨匠たちの展覧会をキュレーション

1981年、ライリーはロンドン、ナショナル・ギャラリーの評議員に任命され、1989年に同館の企画展をキュレーションしました。その際、ティッツイアーノ、ヴェロネーゼ、エル・グレコ、ルーベンス、プッサン、セザンヌの人物を含む大作を選出しています。これらの作家とライリーの作品には、対角の構図と複雑な色彩の統合に共通点を見出せます。さらに後年、クレー展(2002年 ヘイワード・ギャラリー)、モンドリアン展(2006年 テート)の企画・執筆にも参加して良質な展覧会の実現に寄与しました。

受賞歴にみる評価

ライリーは1968年にヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門国際賞をイギリス人として、また女性として初めて獲得しています。1990年代にはオックスフォード大学とケンブリッジ大学から相次いで名誉教授の称号を与えられ、1998年にはイギリス王室からコンパニオンズ・オブ・オナー勲章を、2015年には大英博物館からも勲章が授与されています。加えて、海外からは2003年の高松宮殿下記念世界文化賞(日本)、2012年のジーゲン・ルーベンス賞(ドイツ)とシッケンズ芸術賞(オランダ)に選ばれています。


ブリジット・ライリー略年譜

ブリジット・ライリー略年譜(PDF:447KB)


会期中のイベント

講演会①

加藤有希子(表象論、埼玉大学准教授)
「ライリーとスーラ ――21世紀を考えるヒント」
4月21日(土)13:30-15:00
要予約 3月30日(金)受付開始|定員50名|入館料のみ

講演会②

林道郎(美術史・美術批評、上智大学教授)
「知覚と自由:ブリジット・ライリーについて」
7月21日(土)13:30-15:00
要予約 6月22日(金)受付開始|定員50名|入館料のみ

ダンス・パフォーマンス

首藤康之&中村恩恵in「ゆらぎ」
5月12日(土)17:45開場、18:00開演(18:30終演予定)
要予約|定員70名
料金=一般5,000円、友の会4,500円(当日入館料込み、公演前のレストラン軽食つき)

世界的に活躍するバレエダンサーの首藤康之と中村恩恵が、「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」会場を舞台にパフォーマンスを行います。二人のデュエットが展示空間に魔法をかける特別な時間を、70名という限られた人数で共有する贅沢なプログラムです。

ガムラン・コンサート

「自然のパターン、命のふるえ」
8月4日(土)18:00開場、18:15開演(20:00終演予定)
要予約|定員120名|未就学児不可
料金=一般4,000円、友の会3,500円(当日入館料込み、事前振込制)

命のゆたかさを讃えるように色彩が踊る絵の前で、東京のガムラン楽団「パラグナ・グループ」が古典曲と藤枝守の現代曲を演奏します。

【予定演目】
・ガムラン古典曲
・藤枝守 作曲(ガムランによる《植物文様》、ガムランによる《歌づけ般若心経》ほか)


カタログ情報

ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画

上製本/188×257mm/192ページ(カラー128ページ)
一般価格:4,104円(税込)
※一般書店での取扱いも予定しております

加藤有希子「ライリーとスーラ、日本的あるいは生命と非生命のあいだで」
林道郎「知覚と自由について:ブリジット・ライリー試論」
前田希世子「ブリジット・ライリーの絵画:カーブ、ストライプ、ダイアグナル」

ミュージアムショップ店頭特別価格:2,700円(税込)
本展会期中、当館ミュージアムショップに直接お越しいただいたお客様には特別価格にて販売します。会期終了後および通販の場合は一般価格になります。


特別メニュー

会期中、庭園のレストラン「ベルヴェデーレ」や館内の茶席では、ブリジット・ライリーの絵画をイメージしたオリジナルメニューをご用意いたします。

ライリー展特別ランチコース

税込2,484円

サーモンのマリネと季節野菜のサラダ / 野菜とスピルリナ色素のカラフル・タリアテッレ / 自家製パン / ティラミス / コーヒーまたは紅茶

錦玉と和紅茶のセット

税込700円

きび砂糖のお酒(ラム酒)を煮詰めた寒天に夏みかんのジュレを浮かべた錦玉は、京都の和菓子工房「御菓子丸」を主宰する杉山早陽子さんに、ライリーの絵画から受けた印象を形にしていただきました。京都宇治の和紅茶とともにご提供いたします。