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第二次世界大戦以降の欧米美術

第一次世界大戦を機にさまざまな前衛美術が登場したヨーロッパでしたが、第二次世界大戦時には、多くの芸術家たちが戦禍を逃れ、活動の拠点をアメリカに移しました。彼らはアメリカの若い世代の芸術家と積極的に交わり、アメリカの画家たちはこうした交流から最新の美術動向を吸収していきます。そして、第二次世界大戦後、ヨーロッパ美術にかわり、アメリカ美術が世界を制覇する時代がやってきました。人の背丈をはるかに超えるカンヴァスを一面に色彩が覆いつくす、新しいタイプの抽象絵画が誕生したのです。
ジャクソン・ポロック(1912-1956)は、マーク・ロスコやバーネット・ニューマンと並んでこの新しい潮流を創り出した芸術家です。《緑、黒、黄褐色のコンポジション》は、カンヴァス一面に白、黒、緑、銀を中心に色とりどりの絵具が滴り、跳ね、そして飛び散り、無数の線が交差するポロック特有のスタイルで描かれた作品です。彼の作品は、線を主たる要素としながら、それらが何らかのかたちを指し示してはいません。また、現実世界に存在するものを抽象化した作品とも異なります。
これまでの伝統的な絵画の構造を棄て去ったポロックの作品は、新しいアメリカ美術の誕生を告げる象徴となりました。

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ジャクソン・ポロック 《緑、黒、黄褐色のコンポジション》 1951年 家庭用塗料、エナメル塗料、カンヴァス、メゾナイト(硬質繊維板) 50.8 x 139.7cm
© Pollock-Krasner Foundation/ARS, New York/SPDA, Tokyo, 2007

アド・ラインハート(1913-1967)は、ポロックと同世代の画家です。1960年、1.5m四方の画面を縦横三分割して、かろうじてその差が識別できる3種類の黒い絵具を施した黒い正方形の絵を描きました。以降、亡くなるまで、この単純極まりない黒い正方形の作品のみを、同じ大きさ、同じ構図、同じ色で描き続けました。《抽象絵画》はそのうちの一点ですが、単純な形と極限まで抑制されたその手法には、当時の芸術家が関心をむけていた「絵画とは何か」という本質的な問いに対して取り組む、ラインハートの真摯な姿勢がうかがえます。


アド・ラインハート 《抽象絵画》 1960-66年 油彩、カンヴァス 150.0 x 150.0cm
© Ad Reinhardt/ARS, New York/SPDA, Tokyo, 2007

60年代に入ると、抽象絵画を否定するように具体的なイメージを主題として用いる画家が出現します。ポップ・アートの旗手、アンディ・ウォーホル(1928-1987)は、マリリン・モンロー、コカ・コーラ、キャンベル・スープといったマス・メディアに氾濫する商業的なイメージを並列したシルクスクリーン作品を制作し、一躍アート・シーンの寵児となりました。「花」は多くの画家が手がける題材ですが、ウォーホルが描いた《花》は、美術史上おそらく初めて描かれた「ただの花」、あらゆる固有名詞から解き放たれた純粋な「花」の絵です。その制作方法は、たまたま雑誌で目にしたハイビスカスの写真を無断借用し、そのまま拡大・転写してシルクスクリーンで版画化するという荒技を駆使したものでした。


アンディ・ウォーホル 《花》 1970年 スクリーンプリント、紙 91.5 x 91.5cm(各) 10点組
©2008 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts/ARS, N.Y./SPDA, Tokyo

関連収蔵作品

  • ヴォルス 《閉路》 1948-49年
  • アレクサンダー・カルダー 《四つの白い点》 1976年
  • ディヴィッド・スミス 《ヴォルトリ-ボルトン IV》 1962年
  • モーリス・ルイス 《ギメル》 1958年
  • サム・フランシス 《無題》 1952年
  • トム・ウェッセルマン 《ベッドルーム・ペインティング #6》 1968年
  • ブリジット・ライリー 《朝の歌》 1975年
  • サイ・トゥオンブリー 《無題》 1968年
  • ロバート・ライマン 《アシスタント》 1990年

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