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フランク・ステラの大型作品

既成概念を大胆に覆し、新しい絵画空間の創造を試みようと変貌を続けるア—ティスト、フランク・ステラ(1936-)。そのコレクションは、DIC川村記念美術館の見どころのひとつです。

アメリカ、ボストン郊外に生まれ、名門プリンストン大学で美術を学んだステラが、ニューヨークで作家活動を始めた翌年、23歳のときに手がけたのが《トムリンソン・コート・パーク(第2ヴァージョン)》です。商業用の黒いエナメル塗料とペンキ用の刷毛を用いて、大画面にストライプを繰り返した作品は、非常に限られた要素で構成された抽象美術=ミニマル・アートの先駆と見なされています。黒一色の寡黙な画面は、そこから何かを読み取ろうとする私たちの意志を拒み、難解な印象を抱かせますが、ステラはそうした人々の見方を牽制するかのように、次の言葉を残しました。「あなたは、そこに見えるものを見ているのです」。TVやコンピュータの映像に見入るように、現実には"そこに存在しないもの"の姿があると思い込むのをやめ、目の前にある絵画の存在をそのまま受け入れるのが、この絵の見方なのです。


《トムリンソン・コート・パーク(第2ヴァージョン)》 1959年 エナメル、カンヴァス 213.4 x 276.9cm
© Frank Stella/ARS, New York/SPDA, Tokyo, 2007

《トムリンソン・コート・パーク》を手がけた翌年、ステラは、矩形のカンヴァスという絵画の定式すら捨ててしまいます。眼鏡のような形の《ヒラクラ III》は、半円形のユニットを組み合わせた〈分度器シリーズ〉のうちの1点。まさしく角度の目盛がついた分度器のように、半円の中心から外に向かって放射線状に色分けされています。こうした形は、ステラが描こうとするイメージと作品の外形を完全に一致させようとした結果生まれたものであり、最初に四角い画面が与えられて、その中に対象を描くのとは全く逆のアプローチがとられています。ここにもまた、絵画は、何かを映し出すスクリーンではなく、ひとつの物体であるとするステラの考えが反映されているのです。また、単色で描かれた《トムリンソン・コート・パーク》と異なり、蛍光塗料を含む多色づかいは私たちの視覚を刺激し、平面でありながら躍動感ある絵画空間が実現されています。


《ヒラクラ III》 1968年 アクリル、カンヴァス 304.8 x 609.6cm
© Frank Stella/ARS, New York/SPDA, Tokyo, 2007

ステラの挑戦はなおも続き、1971年からは段ボールやフェルト、75年以降はアルミニウム板を素材に採り入れ、数多くのパーツを組み合わせて作品の立体化を進めました。また86年から開始されたステラ最大のシリーズ、メルヴィルの小説『白鯨』の章名を作品に冠した〈白鯨シリーズ〉では、マケット(模型)の各パーツを拡大し、アルミニウムやマグネシウムなどの金属で鋳造して組み合わせた大型作品が次々に登場します。なかでも《メリー・クリスマス 3X(第3ヴァージョン)》は、まるで巨大な飛び出す絵本のように、壁から1.5m以上も突き出て圧倒的な存在感を放ちながら、私たちのいる空間に浸食してくるのです。


《メリー・クリスマス 3X(第3ヴァージョン)》 1987年 ミクストメディア、アルミニウム 489.0 x 332.0 x 170.0cm
© Frank Stella/ARS, New York/SPDA, Tokyo, 2007

関連収蔵作品

  • 《ポルタゴ侯爵(第2ヴァージョン)》 1960年
  • 《フリン・フロン II》 1968年
  • 《ベックホーフェン III》 1972年
  • 《恐れ知らずの愚か者 3.8X》 1985年
  • 《スフィンクス 1.875X》 1988年
  • 《檣頭》 1990年
  • 《セコイア》 1991年
  • 《リュネヴィル》 1994年

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