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印象派とエコール・ド・パリ

クロード・モネ(1840-1926)は1899年頃より没年まで、自邸の庭に造った睡蓮の池を描き、200点以上の作品を残しました。その大きな特徴は、水面の一角を切り取るように描き、地平線や水平線、空など、従来の風景画に不可欠な要素を除いて、画面を構築したことです。ここでは睡蓮の花の点在する水面の左側と右側に、対岸に立つポプラとしだれ柳が濃緑の影を落とし、その間には空の映り込んだ明るい緑色の部分が広がっています。水面という限りなく平たい対象と、水面に浮かぶ睡蓮、そして映りこんだ景色の奥行きが共存し、虚実の交錯する不思議な世界です。同じ年にモネは、本作とほぼ同構図でサイズも似通った縦長のフォーマットの作品を約15点手がけています。色調の異なるそれらは、画家が同じ景色を時間帯によるさまざまな陽光の変化の下で描いたことを伝えています。


クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩、カンヴァス 92.5 x 73.5cm

丸みある曲線と直線が幾何学的な形を描くグレーの画面。まるで海辺の木片や石など雑多な漂流物を組み立てたような面白い構成ですが、作者のパブロ・ピカソ(1881-1973)はここに眠る女性の姿を表したようです。中央の円形が白い歯の並んだ口、その周りを囲む椎茸のような形が頭と首で、二つの三日月型ラインは閉じた瞼です。長く伸びた首の下に重なるのは豊満な胸でしょう。ひとつひとつの形は平たい印象がありますが、重なるように描かれていることで奥行き感が生まれています。ピカソは1927年の春に、こうした口を開けて眠る女性像を少なくとも5点手がけました。呑気に開いた口にズラリと並ぶ歯列。まろやかな体つきの女性は意外な獣性を秘めているのかもしれません。


パブロ・ピカソ 《肘掛椅子に座る女》 1927年 油彩、カンヴァス 81.0 x 65.0cm
© 2007-Succession Pablo Picasso-SPDA(JAPAN)

前世紀の前半にパリで活躍した外国人画家たちの総称である「エコール・ド・パリ」の人物のうち、特によく知られるマルク・シャガール(1887-1985)。ロシア系ユダヤ人である彼は、ナチスの侵略が進むフランスからアメリカへの亡命を余儀なくされました。《赤い太陽》は画家がフランス帰還後、間もなく制作した作品です。謎めいたモティーフが無重力空間を遊泳するような独特の世界はシャガールに特徴的なものです。闇の黒さを背景に、人物や動物、花束などが、堂々と色鮮やかに浮かび上がる様子は、暗い時代を経て再生に向かおうとする当時の画家の心の反映のようです。燭台の左下には、黒い絵の具地を何か硬いもので引っ掻いて薄い線刻を施しているのが確認できます。そこに描かれているのは若き日のシャガール自身がカンヴァスに向かう姿です。


マルク・シャガール 《赤い太陽》 1949年 油彩、カンヴァス 139.5 x 98.0cm
© ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2007

関連収蔵作品

  • カミーユ・ピサロ 《麦藁を積んだ荷馬車、モンフーコー》 1879年
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール 《水浴する女》 1891年
  • ピエール・ボナール 《化粧室の裸婦》 1907年
  • ジョルジュ・ブラック 《マンドリン》 1912年
  • アンリ・マティス 《肘掛椅子の裸婦》 1920年
  • 藤田嗣治(レオナール・フジタ) 《アンナ・ド・ノアイユの肖像》 1926年
  • パブロ・ピカソ 《シルヴェット》 1954年
  • マルク・シャガール 《ダヴィデ王の夢》 1966年

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