美術館

HOME > 美術館 > 展覧会 > 過去の展覧会 > 「4つの物語」 コレクションと日本近代美術

過去の展覧会

「4つの物語」 コレクションと日本近代美術

われわれは何を見て、何を作ってきたのか。
欧米の作品とともに日本近代の芸術家たちの表現を追う4つの物語。

髙島野十郎 《りんごを手にした自画像》
1923(大正12)年 福岡県立美術館

会期
2009年6月27日(土)-9月23日(水・祝)
開館時間
午前9時30分-午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜日(ただし、7/20と9/21は開館)、7/21(火)
主催
川村記念美術館(DIC株式会社)
後援
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会

本展覧会は終了しました。
本内容は展覧会開催期間中の情報で、現在開催中の展覧会情報とは異なりますので、ご注意ください。

DIC川村記念美術館のコレクションの中心をなすのは、抽象・ダダ・シュルレアリスムから戦後アメリカ美術に至るいわゆる欧米の20世紀美術です。また、それらとともに、レンブラント、印象派、エコール・ド・パリの作品が歴史的展開を補強するかのようなかたちで集められ、さらに近年の日本の作家による作品も収集されています。近・現代美術史のおおよその展開を対象とするコレクションですが、しかし、ここに抜け落ちているのが日本近代の作品群です。

幕末・明治における洋画技法の流入以降、日本の美術は欧米の美術の展開に刺激を受けながらも自らの表現を築き上げてきました。現在我々が共有する美術についての鑑識眼はいわばその成果とともにかたちづくられ、そこから数々の国内コレクションが形成されていったともいえるでしょう。

本展は、DIC川村記念美術館のコレクションから選んだ欧米絵画を起点とする4つの柱をもとに、それらとの間に影響関係や類同性が見られる明治以降の絵画を並置することで、日本近代絵画の多角的な理解をめざすものです。同時に、当館のコレクションを日本近代の名品との比較によってあらためて見つめなおすことも企図しています。どこが同じでどこが違うのか、日本の画家たちが独自の表現に至るにはどんな背景があったのか―

4つの物語を軸に現代日本に生きる私たちの眼で再検証してみましょう。

親しみやすい「洋画」から個性派作品まで幅広く

ルノワールに直接学んだ梅原龍三郎の裸婦像、山下新太郎が印象派風に描いた愛らしい幼児の肖像などは、いわゆる「洋画」と呼ばれ、日本人の目に親しんできた画風といえるでしょう。
これに対して、ヨーロッパで肖像画家として実力を認められた原撫松が英国留学中に描いた《影の自画像》、近年再評価されて注目を集める孤高の画家・髙島野十郎による自画像、さらには書道を前衛美術に昇華させ、欧米のアーティストにも影響を与えた比田井南谷の書などは、鮮烈な個性を感じさせる作品です。
このように、本展では近代日本絵画の幅広いヴァリエーションをご覧にいれます。

原撫松 《影の自画像》 1907(明治40)年 
東京国立博物館 Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp/

数十年ぶりに公開される岸田劉生の作品

長らく展覧会などで公開されることがなかった岸田劉生の水彩《村娘図》(1920年)と油彩《麗子座像》(1922-25年)が展示されます。

岸田劉生 《麗子座像》 1922/25(大正11/14)年 個人蔵

1 レンブラントと絵画技法の摂取/展開―肖像とリアリズム

ルネサンス以降最高の画家と称されるレンブラントの表現を、日本の画家たちは留学中の模写や輸入書籍などによって摂取してきました。
ロンドンで高い評価を得ながら帰国後は日本画壇になじめず不遇のうちに病に倒れた原撫松。自我の表現をレンブラント風の自画像に託した中村彜。レンブラントやルーベンスに魅了された後、デューラー風の細密表現を経て《麗子像》の美へと至った岸田劉生。さらに、古典的技法を用いながら、この世にあらざる写実とも称される強烈な表現を生んだ髙島野十郎の作品には、時空を超えて普遍的な絵画の深淵にたどり着いた画家の精神を見ることができます。
また、幕末から明治にかけて、初めて油絵の技法を駆使してリアリズムを追及した高橋由一や五姓田義松らの作品もあわせて紹介します。

レンブラント・ファン・レイン 《広つば帽を被った男》
1635年 DIC川村記念美術館

高橋由一 《寒河江市隠像》 1887-88(明治20-21)年 
山形美術館寄託

2 ルノワールと日本の油絵―裸婦と家族の肖像

ルノワールの輝くような描写に中村彜や梅原龍三郎は魅了され、さらにそこから自身の表現を深めることで日本の油絵、いわゆる「洋画」の完成に力を尽くしました。
中村、梅原らの絵画にはルノワール作品によく似ているところと異なっているところがありますが、それぞれの表現をここでは比べていただくことができます。
さらに、梅原同様に直接ルノワールの教えを受けた山下新太郎や、日本女性の裸体の美しさを伸びやかに描いた小出楢重らの作品によって、日本「洋画」誕生の一側面を追います。

ピエール・オーギュスト・ルノワール
《水浴する女》 1891年 DIC川村記念美術館

山下新太郎 《端午》 1915(大正4)年
石橋財団石橋美術館 
©Mikiko Kawashima 2009

3 マレーヴィッチ、ヴァントンゲルローと同時代の抽象絵画―近代と精神

抽象絵画の創始者の一人であるマレーヴィッチは、キュビスムや未来派など数々の潮流を通過し新たな表現にたどり着きます。またヴァントンゲルローは数式をもとに形態を構成する作品を制作し、フランスで「抽象=創造」という抽象芸術家たちのグループの中心的役割を果たします。
この章では彼らと同時代、昭和10年代以降の抽象的表現を追います。長谷川三郎、村井正誠、吉原治良、北脇昇たちは、メディアと交通の発達により、当時の欧米の動向をタイムラグなしで知ることができた世代です。彼らは最先端の表現を自らのものとするだけではなく、日本の精神や自然にまで抽象表現によって探求した作品を制作しました。
物質主義に向かう激動の時代にあるべき日本的な表現とは何か、という問いを真摯に受けとめた芸術家たちでした。

ジョルジュ・ヴァントンゲルロー
《形態と色彩の機能》 1937年 DIC川村記念美術館 ©2009 by ProLitteris, CH-8033 Zurich & SPDA, Tokyo

北脇昇 《秩序混乱構造》 1940(昭和15)年 東京国立近代美術館

4 ヴォルス、ポロックと戦後美術―運動と物質

戦後日本の前衛的な表現は国際的な注目を集め、さらに世界へと発信してゆくことになります。
とくに吉原治良を中心に若い芸術家たちが集まって結成された「具体」というグループは高い関心を惹きました。彼らの表現は同時代のアンフォルメルという芸術運動と深くつながっています。
また、書の伝統を新たによみがえらせるなかから生み出された革新的な書家たちの作品には、絵具をしたたらせ制作したポロックと同質の空間表現を見出すことができます。絵具や墨を飛び散らせた熱い表現の東西をここに例示します。

ジャクソン・ポロック 《緑、黒、黄褐色のコンポジション》 1951年 DIC川村記念美術館

比田井南谷 《作品1(電のヴァリエーション)》1945(昭和20)年 千葉市美術館

講演会『近代絵画における「個」と「普遍」』

日時 講演者
7月5日(日)
14:00-16:00
本江 邦夫(多摩美術大学教授)
  • 聴講費=入館料のみ
  • 当日11:00から美術館受付で希望者先着60名に整理券配布

学芸員による「4つの物語」展ギャラリートーク

日時 講演者
6月27日(土)
7月25日(土)
8月 8日(土)
8月22日(土)
9月19日(土)
14:00-15:00
赤松 祐樹
(DIC川村記念美術館学芸員)
  • 先着40名、14:00エントランスホール集合

ガイドスタッフによる全館ガイドツアー

6/27、7/5、7/25、8/8、8/22、9/19を除く毎日 14:00-15:00

  • 予約不要、14:00エントランスホール集合
  • 会場混雑により、コレクションのご説明のみとなる場合があります。

音声ガイド

コレクションと「4つの物語」展の解説を収録しています。

  • 貸出料=1台 500円

展覧会カタログ

『4つの物語』 1900円(税込)

入館料

一般
1300円
学生・65歳以上
1000円
小中学生・高校生
500円

[20名以上の団体(下記料金は1名分)]

一般
1100円
学生・65歳以上
800円
小中学生・高校生
400円

[障がい者手帳をお持ちの方(+付き添い1名まで)]

一般
1000円
学生・65歳以上
700円
小中学生・高校生
300円
  • ※学生と65歳以上の割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です。
  • ※美術教育サポートプログラムもご活用ください。(1クラス 3500円)

過去の展覧会一覧

今まで開催された展覧会の一覧をご覧いただけます。
過去の展覧会一覧

  • 美術館