ルネサンス以降最高の画家と称されるレンブラントの表現を、日本の画家たちは留学中の模写や輸入書籍などによって摂取してきました。
ロンドンで高い評価を得ながら帰国後は日本画壇になじめず不遇のうちに病に倒れた原撫松。自我の表現をレンブラント風の自画像に託した中村彜。レンブラントやルーベンスに魅了された後、デューラー風の細密表現を経て《麗子像》の美へと至った岸田劉生。さらに、古典的技法を用いながら、この世にあらざる写実とも称される強烈な表現を生んだ髙島野十郎の作品には、時空を超えて普遍的な絵画の深淵にたどり着いた画家の精神を見ることができます。
また、幕末から明治にかけて、初めて油絵の技法を駆使してリアリズムを追及した高橋由一や五姓田義松らの作品もあわせて紹介します。
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レンブラント・ファン・レイン 《広つば帽を被った男》
1635年 DIC川村記念美術館
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高橋由一 《寒河江市隠像》 1887-88(明治20-21)年
山形美術館寄託
ルノワールの輝くような描写に中村彜や梅原龍三郎は魅了され、さらにそこから自身の表現を深めることで日本の油絵、いわゆる「洋画」の完成に力を尽くしました。
中村、梅原らの絵画にはルノワール作品によく似ているところと異なっているところがありますが、それぞれの表現をここでは比べていただくことができます。
さらに、梅原同様に直接ルノワールの教えを受けた山下新太郎や、日本女性の裸体の美しさを伸びやかに描いた小出楢重らの作品によって、日本「洋画」誕生の一側面を追います。
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ピエール・オーギュスト・ルノワール
《水浴する女》 1891年 DIC川村記念美術館
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山下新太郎 《端午》 1915(大正4)年
石橋財団石橋美術館
©Mikiko Kawashima 2009
抽象絵画の創始者の一人であるマレーヴィッチは、キュビスムや未来派など数々の潮流を通過し新たな表現にたどり着きます。またヴァントンゲルローは数式をもとに形態を構成する作品を制作し、フランスで「抽象=創造」という抽象芸術家たちのグループの中心的役割を果たします。
この章では彼らと同時代、昭和10年代以降の抽象的表現を追います。長谷川三郎、村井正誠、吉原治良、北脇昇たちは、メディアと交通の発達により、当時の欧米の動向をタイムラグなしで知ることができた世代です。彼らは最先端の表現を自らのものとするだけではなく、日本の精神や自然にまで抽象表現によって探求した作品を制作しました。
物質主義に向かう激動の時代にあるべき日本的な表現とは何か、という問いを真摯に受けとめた芸術家たちでした。
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ジョルジュ・ヴァントンゲルロー
《形態と色彩の機能》 1937年 DIC川村記念美術館 ©2009 by ProLitteris, CH-8033 Zurich & SPDA, Tokyo
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北脇昇 《秩序混乱構造》 1940(昭和15)年 東京国立近代美術館
戦後日本の前衛的な表現は国際的な注目を集め、さらに世界へと発信してゆくことになります。
とくに吉原治良を中心に若い芸術家たちが集まって結成された「具体」というグループは高い関心を惹きました。彼らの表現は同時代のアンフォルメルという芸術運動と深くつながっています。
また、書の伝統を新たによみがえらせるなかから生み出された革新的な書家たちの作品には、絵具をしたたらせ制作したポロックと同質の空間表現を見出すことができます。絵具や墨を飛び散らせた熱い表現の東西をここに例示します。
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ジャクソン・ポロック 《緑、黒、黄褐色のコンポジション》 1951年 DIC川村記念美術館
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比田井南谷 《作品1(電のヴァリエーション)》1945(昭和20)年 千葉市美術館
















































