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過去の展覧会

人と自然のあいだの「精神」と「芸術」
スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり

若林奮 《UNTITLED》 1957年 
石 17x13x25cm
若林夏欧
© WAKABAYASHI STUDIO 2014

会期
2015年1月24日(土)- 3月22日(日)
開館時間
午前9時30分-午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜
主催
DIC株式会社、読売新聞社、美術館連絡協議会
協賛
ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、日本テレビ放送網
後援
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育員会

本展覧会は終了しました。
本内容は展覧会開催期間中の情報で、現在開催中の展覧会情報とは異なりますので、ご注意ください。

人間は太古より自然に向き合う生活の中から豊かな精神を育んできました。自然や神話に関する精神は芸術の分野でも重要なテーマとなっています。日本人は古来自然と密接に関わってきましたが、古事記や日本書紀をひもとくとき、人と自然の関係の象徴として見いだされるのがスサノヲです。スサノヲには、荒ぶる神としてのイメージがありますが、同時に、和歌の始祖として繊細な美意識をあわせ持ち、既存のものを原点にもどし新たな文化を創造する神でもあります。そして、物事の本質を気づかせる喚起力、事態を反転する起爆力、芸術家にインスピレーションを与える力によって、時代の変革期に重要な示唆をわれわれに与えてきました。本展はスサノヲ的な表象をたどることで、自然や、知性を超えたものと、人間とのあいだの精神の深層をあらためて見つめ、現在における芸術のあり方を捉え直そうとするものです。
展示では、縄文土器にはじまり、神像などの歴史的資料や、芭蕉、円空など文学や芸能に関わる資料、平田篤胤、田中正造、南方熊楠、折口信夫らの探求(異界・妖怪研究の絵図、菌類彩色図譜、書など)、さらには岡本太郎、若林奮ほかスサノヲの精神を共有する現代の美術作品を一堂に紹介します。また、当館では、これらの資料や作品約260点を、コレクション展示室を交えながら、美術館全体を用いて展覧します。本展が文化の精神的基層に触れ、芸術作品をさらに深く理解する機会となればと考えています。

[コレクションとの関わり]
自然や神話に関する精神は欧米の美術でも重要なテーマであり、それらは当館のコレクションにも見ることができます。マイヨールの《ヴィーナス》やブールデルの《果実》はローマ神話の女神を題材とし、シャガールの《ダヴィデ王の夢》は旧約聖書の古代イスラエルの王が描かれ、また、カンディンスキーは神話的世界や神秘主義思想から大きな影響を受けています。さらにロスコはその活動初期において神話を研究し古代芸術の象徴に基づいた作品を描いた後に、独自の芸術を完成させています。
「スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり」展では、当館のコレクション展示とともにご覧いただける構成を予定しており、あわせて、自然と人間の境界を彫刻で探求した若林奮の代表作《振動尺》(当館コレクション)を特別展示します。東西の表現を見比べながら、新たな観点から当館のコレクション作品をご鑑賞ください。

若林奮
《振動尺I-IV》
1979年 鉄、木、グアッシュ
DIC川村記念美術館
©WAKABAYASHI STUDIO 2014

序章 | 日本神話と縄文の神々

日本神話において「泣きいさちる神」として登場するスサノヲは、自然の脅威を想起させますが、同時に人々に農耕や飼育をもたらし、自然と人との境界における文化を担う存在でもありました。自然への畏敬と信仰という古層の精神をここでは縄文土器から見てゆきます。

《深鉢突起破片》
縄文時代中期(BC3000~2000年)
27.0×16.0×13.0cm
京都造形芸術大学芸術館

第一章 | 神話の中のスサノヲ

元来、神は姿がなく、造形されることは稀でしたが、スサノヲは例外的に現代に至るまで多く描かれ、像になっています。そのいでたちは平安貴族の正装である衣冠束帯から、江戸期には唐様、明治期以降は古代風へと変わっています。ここでは、神話の中のスサノヲの表現をご紹介します。

狩野時信
《素戔嗚神》(部分)江戸時代(17世紀)
絹本着色118.0×45.3cm
出雲大社

第二章 | スサノヲの変容

日本の神は外来の神や仏と自在につながり、神仏習合してゆきますが、スサノヲも牛頭天王と同一神とされ、また、御霊信仰、荒神信仰、庚申信仰へと繋がってゆきます。ここではその現れを神像などに見ます。

《牛頭天王半跏像》
平安時代(12世紀)
木造 45.7×32.0×40.7cm
木津川市 松尾神社(京都府立山城郷土博物館寄託)

第三章 | うたとスサノヲ

中山琴主
《八雲琴》 江戸時代末(19世紀)
桐 10.0×110.0×12.0cm
出雲大社

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 
八重垣作る その八重垣を

ヤマタノヲロチを退治しスサノヲが詠んだこの歌は和歌の始まりとされています。歌は荒ぶる魂が美しい調べに変容されたものといえます。スサノヲの宝物のひとつに「天の詔琴(あまののりごと)」がありますが、琴は弦を調律し調べを整えることで美しい音を奏でる楽器で、歌のはたらきとも通じます。

第四章 | マレビトたちの祈りとうた

タカマノハラを追放され漂泊するスサノヲに、民俗学者の折口信夫は異界から来訪する「マレビト」を見いだしています。マレビトとは遙か彼方から到来し、村を活性化したり、災厄をもたらしたりしてまた去って行く来訪神のことです。
ここでは名も知られぬ行者たちや、円空、芭蕉など旅の途上で作品を残した者たちを扱います。

円空
《大黒天立像》 江戸時代
木造 45.5×22.0×14.0
天河大辨財天社

第五章 | 平田篤胤の異界探求

《五嶽山真形文》
紙本着色 27×583cm
国立歴史民俗博物館

幕末の外的脅威や内的動揺に際して、国学者の平田篤胤は、魂の安定こそ危機を乗り越える手段であり、人は死後どこへゆくかという問いを明らかにしなければ、魂の安らぎを得ることはできないと考え、醜悪な黄泉の国とは異なった、この世と隣り合わせにある幽冥界の探求を行いました。そして、地上を任された尊い神としてスサノヲをとらえ直してゆきます。異界探求としての神隠しに遭った子供への丹念な調査は、明治以降民俗学に継承されてゆきます。


第六章 | スサノヲを生きた人々―清らかないかり

ここでは田中正造、南方熊楠、折口信夫を取り上げます。エコロジーという言葉を日本で先駆的に用いた南方をはじめ、彼らは自然との共生を真剣に考え、言葉なき自然や神の立場に立って、近代の矛盾に対する憤りを表明しました。それはスサノヲの精神と通じる、清らかな怒りであったといえます。

南方熊楠
《菌類彩色図譜 (F.2767)》
1921年11月6日
水彩、インク、紙 27.5×19.7cm
国立科学博物館

第七章 | スサノヲの予感

最終章では、縄文に通じる太古の息吹を感じさせ、神話や自然と直接に切り結び、未だかつてない新たな尺度や方法により制作された現代作品をご紹介します。
[出品作家]
赤木仁、恵藤求、岡田真宏、岡本太郎、岡本天明、金井南龍、黒川弘毅、黒須信雄、古西律、
佐々木誠、清水晃、竹内啓、タカユキオバナ、多和圭三、栃木美保、成瀬杏子、橋本倫、
長谷川沼田居、藤白尊、藤山ハン、牧島如鳩、若林奮

赤木仁 《積良の阿波の日向丸》 2005年
油彩、カンヴァス 90.7×72.5cm
作家蔵

栃木美保 《まいか》 2014年
麻布、木、塩、植物 径184.5cm
作家蔵

黒川弘毅 《Spartoi No.38》 1994年
ブロンズ 54.0×52.0×38.0cm
作家蔵

金井南龍
《秋の彼岸の中日に七面山より富士山頂からの御来光を仰ぐ》1987年
油彩、カンヴァス 130.0×162.2cm さすら

佐々木誠 《夜久毛多都》 2013年
木彫、彩色 65.0×155.0×80.0cm
作家蔵

  • 「スサノヲ力の探究と表現~その爆発の形を考える」

    鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授)
    2月1日(日)14:00-15:30
    13:00より館内受付で整理券配布|定員50名|入館料のみ

  • 「スサノヲの系譜―極端に走る思想」

    川島健二(民俗学研究)
    3月21日(土・祝)14:00-15:30
    13:00より館内受付で整理券配布|定員50名|入館料のみ

  • 「まいか」塩香作り

    季節の植物と荒塩でオリジナルのモイストポプリを作ります。
    講師:栃木美保
    2月28日(土)14:00-16:00
    要予約|定員15名|入館料のみ
    ※定員に達しました。

  • 「いのり」のしぐさ―言葉をつくるワークショップ

    48ヵ所の水鏡の写真と、そこから汲んできた水を用いて言葉が生まれる水際を体験します。
    講師:タカユキオバナ
    3月15日(日)14:00-16:00
    要予約|定員20名|入館料のみ
    ※定員に達しました。

  • [お申し込み方法]

    各ワークショップ開催日の1週間前までに以下の内容をお知らせください。
    ①参加希望のワークショップ名 ②氏名 ③人数 ④当日連絡先(携帯電話番号)
    ワークショップ担当宛
    Tel. 043-498-2672
    eメール goshitsumon@kawamura-museum.com

  • 学芸員によるギャラリートーク

    2月21日(土)、3月7日(土) 14:00-15:00
    予約不要|エントランスホール集合

  • ガイドツアー

    講演会、ワークショップ、ギャラリートークの開催日を除く毎日14:00-15:00
    ガイドスタッフがコレクション展示と展覧会をご案内いたします。
    予約不要|エントランスホール集合

  • 音声ガイド

    当館収蔵品の解説と本展の概要をお聞きいただけます。
    機器レンタル 1台500円

『スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり』

執筆:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター 教授)
川島健二(民俗学研究)
ほか本展巡回先各館の学芸員および出品作家
デザイン:中島康夫(エムワンデザイン)
印刷:凸版印刷株式会社
発行:読売新聞社、美術館連絡協議会 ©2014
価格:2,200円(税込)
A4変形/ソフトカバー/279ページ

販売:ミュージアムショップ

一般
1,300円
学生・65歳以上
1,100円
小中学生・高校生
600円

[20名以上の団体(下記料金は1名分)]

一般
1,100円
学生・65歳以上
900円
小中学生・高校生
500円

[障がい者手帳をお持ちの方(+付き添い1名まで同料金)]

一般
1,000円
学生・65歳以上
800円
小中学生・高校生
400円
  • ※2/15(日)はDIC株式会社の創業記念日のため入館無料です。
  • ※学生と65歳以上の割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です。
  • ※美術教育サポートプログラムもご活用ください。(1クラス 3,500円)

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