美術館

HOME > 美術館 > 展覧会 > 過去の展覧会

過去の展覧会

ムルロ工房と20世紀の巨匠たち パリが愛したリトグラフ

マルク・シャガール
《ダフニスとクロエ》より〈荒らされた花々〉
1961年 神奈川県立近代美術館(望月冨昉コレクション)
Marc Chagall, Daphnis et Chloé,“Les fleurs saccagées”,
M.343, 1961 The Museum of Modern Art,
Kamakura & Hayama
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015, Chagall® E1401

会期
2015年4月4日(土)- 5月12日(火)
開館時間
午前9時30分-午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜(ただし5月4日は開館)

※5月5日(火・祝)こどもの日は高校生以下入館無料

主催
DIC株式会社、読売新聞社、美術館連絡協議会
特別協力
うらわ美術館
協賛
ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜
後援
在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本、千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会

本展覧会は終了しました。
本内容は展覧会開催期間中の情報で、現在開催中の展覧会情報とは異なりますので、ご注意ください。

フェルナン・ムルロ(1895-1988年)と彼の営む版画工房の名は、20世紀のパリで活動した芸術家たちの間で、伝説的な存在として語られてきました。
1921年、印刷所を経営していた父の死に伴ってフェルナンとその兄は会社を受け継ぎ、「ムルロ兄弟社」と名付けます。パリの一角でシャンパンのラベルや広告を製作するムルロのリトグラフ印刷所(工房)は、1930年にルーヴル美術館で開催された「ドラクロワ展」のポスターが注目を集めたことをきっかけに、芸術的リトグラフ工房へと発展していきます。1930年代にはマティスが、第2次世界大戦後にはピカソ、シャガール、ミロらがフェルナンと出会い、リトグラフ制作に没頭しました。画家たちは工房に通い、製版や刷りを担当する職人と相談しながら納得のゆくまで版を重ね、時にはそれまでの常識を超える方法を試みて刷りを繰り返しました。ムルロ工房は芸術家と職人との協同作業によって、リトグラフの創造の可能性を追求する場となったのです。
本展では20世紀の巨匠たちのリトグラフ、挿画本、ポスター、美術雑誌に加え、プレス機など約200点の作品と資料をご紹介します。

第1章 ∣ 19世紀のリトグラフ

18世紀にドイツのゼーネフェルダーが印刷・版画の技法として確立したリトグラフ(石版画)はヨーロッパ各地に広まり、ナポレオン時代にはフランス各地にプレス機を備えた石版印刷所が開設され、効率的な印刷術として普及しました。このリトグラフに新しい表現の可能性を見出し、最初の流行を生み出したのは19世紀の画家たちです。マネやルドンは文学作品に想を得た作品を制作し、19世紀後半にはシェレやトゥールーズ=ロートレックらの華やかで大胆なポスターがパリの街を彩りました。

オディロン・ルドン
《ヨハネ黙示録》より
1899年 三重県立美術館

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
《ディヴァン・ジャポネ》
1892年 京都工芸繊維大学美術工芸資料館

主な出品作家 : ドラクロワ、ドーミエ、マネ、シェレ、スタンラン、ミュシャ、トゥールーズ=ロートレック、ルドン、ボナール

第2章 ∣ ムルロ工房の仕事:巨匠たちのリトグラフ

19世紀に花開いたリトグラフ芸術は、第1次世界大戦後に再び流行の時を迎えます。その中心となったのがムルロ工房でした。第2章から第4章では、ムルロ工房で制作されたリトグラフ作品を紹介します。

〈芸術家と職人のコラボレーション〉

ムルロ工房の評判を聞きつけた画家たちはフェルナン・ムルロの元を訪れ、工房での制作を始めます。画家が工房の一室で石版石やジンク版に絵を描くと、それを受け取った職人は製版、刷りの工程を進め、画家が試し刷りをチェックして、問題がなければ一定の部数が刷られ、エディション番号と画家のサインが入れられます。工房通いを続けるうちに画家たちは職人と顔なじみになり、よりよい効果を求めて協同で試行錯誤を行うようになりました。ピカソはデシャン、マティスはテュタンというように、次第に各画家を決まった職人が担当するようになります。シャガールはムルロ工房の刷り師だったシャルル・ソルリエを気に入り、助手として各地に同行させ、自分の伝記を書くように頼んだほどです(シャルル・ソルリエ著 『わが師シャガール』 新潮社)。それぞれの芸術家の気質や表現を理解した職人とのコラボレーションによって、画家たちは油彩や銅版画とは異なるリトグラフの特性を駆使した作品を生み出しました。

パブロ・ピカソ
《鳩》
1949年 町田市立国際版画美術館
©2015-Succession Pablo Picaso-SPDA(JAPAN)

〈テクストを彩るリトグラフ〉

リトグラフが第二の隆盛を誇った時代は、版画集や挿画本の流行と重なっていました。古典文学や20世紀の文学者による小説・詩などのテクストを最高級の紙に美しい書体で印刷し、そこに当代の画家が版画で挿絵をつけた豪華な挿画本は、ひとつの芸術作品として多くの人々を魅了しました。こうした挿画本の多くは、美術に造詣の深い編集者や出版社、画廊や画商、版画工房、そして画家が互いに提案・協力して制作されたものです。ムルロ工房はシャガールの《ダフニスとクロエ》やレジェの《サーカス》など、リトグラフの名作として知られる作品を手がけました。

ル・コルビュジエ 
《直角の詩》より
1955年 うらわ美術館
©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015 E1401

フェルナン・レジェ
《サーカス》より 
1950年 うらわ美術館

ジョルジュ・ブラック
《20の思索》より
1958年 うらわ美術館

主な出品作家 : マティス、ヴラマンク、ピカソ、レジェ、ブラック、シャガール、ル・コルビュジエ、コクトー、ミロ、ベン・シャーン、 ヘンリー・ムーア、ジャコメッティ、デュビュッフェ

第3章 ∣ ムルロ工房の仕事:芸術雑・書籍・カタログ

ムルロ工房の活動した時代には、さまざまな出版物にオリジナルリトグラフが添えられることがありました。例えばムルロ工房から出版された『石版画師ピカソ』(全4巻)では、印刷による図版で作品を紹介していますが、その表紙と扉絵はリトグラフで制作されたものです。またこの時代には、編集者や出版社が企画し、同時代の文学者や哲学者、芸術家が参加した豪華な芸術文芸雑誌が発行されました。なかでも編集者テリアードが主宰した『ヴェルヴ』(1937-60年)は「世界で一番美しい雑誌」と謳われたものです。これらの美術雑誌にもムルロ工房が制作したリトグラフが数多く掲載されています。
フェルナン・ムルロは自らの生涯と工房での仕事を綴った回想録を残していますが、それらの著作にもオリジナル・リトグラフの表紙がつけられたものがあります。

第4章 ∣ ムルロ工房の仕事:ポスター

ムルロ工房は美術館や画廊で開催される展覧会ポスターを数多く制作しました。マティスやシャガールは、自治体から依頼された市のフェスティバルなどのポスターをムルロ工房で制作しています。これらのポスターは宣伝物であると同時にひとつの作品でもあり、また制作された当時の展覧会の内容やデザインの傾向を知ることができる貴重な記録と言えるでしょう。

《ボナール、ヴュイヤールとナビ派展(パリ国立近代美術館)》
サントリーポスターコレクション
(大阪新美術館建設準備室寄託)

《歌麿展(ユゲット・べレス、パリ)》
サントリーポスターコレクション
(大阪新美術館建設準備室寄託)

リトグラフの制作と資料

印刷技術の進歩とともに、一般の印刷物やポスターに使われることはなくなりましたが、リトグラフはひとつの版画技法として定着し、今なお美術の世界に受け継がれています。現代では入手困難な石版石に代わり、アルミニウムなどの金属板が主流となっています。
このセクションではプレス機と道具を展示し、リトグラフ制作の様子を動画(約15分)で紹介します。

プレス機
宇都宮美術館
撮影:伊藤時男 ©Tokio ITO

主な出品作品 : リトグラフ制作に使われるプレス機と道具など

参考文献:フェルナン・ムルロ 『パリの版画工房 思い出に刻まれた芸術家たち』 益田祐作訳、求龍堂、1981年
動画協力:金沢美術工芸大学(神谷佳男教授)

※会期中に展示替があります。
※出品作品リストは後日公開予定です。

  • ■講演会

    4月18日(土) 14:00-15:30
    「フェルナン・ムルロと自律の芸術としてのリトグラフィ・オリジナル」
    講師:益田祐作氏

    本展の協力者である益田祐作さんは、1964年に留学生としてフランスにわたり、パリで印刷と美術を学びました。その間に日本の「創作版画」の制作とは異なるリトグラフィを発見。1973年にフェルナン・ムルロと技術援助契約を結び、東京にリトグラフィの工房「アトリエMMG」(1974-2007年)を設立。多くの日本の画家たちのリトグラフィ・オリジナルを制作しました。また、フェルナン・ムルロの著作 『パリの版画工房』 (求龍堂)の翻訳者でもあります。フェルナン・ムルロとリトグラフィについてお話をうかがいます。

    予約不要、聴講無料、定員50名 (入館券が必要です)

  • ■学芸員によるギャラリートーク

    4月4日(土)、5月2日(土) 14:00-15:00
    本展担当学芸員が展覧会の解説を行います。
    予約不要、14:00エントランスホール集合

  • ■ガイドツアー

    ガイドスタッフがコレクション展示と展覧会をご案内します。
    予約不要、14:00エントランスホール集合 (講演会・ギャラリートーク開催日を除く毎日)

『ムルロ工房と20世紀の巨匠たち』

執筆:セリーヌ・シシャ=キャステクス
(フランス国立図書館 版画写真部門学芸員)
益田祐作 (美術史家・元アトリエMMG主宰)
ほか本展巡回先各館の学芸員
デザイン:馬面俊之
制作:コギト
発行:読売新聞社、美術館連絡協議会
価格:2800円

販売:ミュージアムショップ

コレクション展示情報

ムルロ工房展でご紹介する巨匠たちの絵画・彫刻を当館のコレクション展示室と庭園でご覧いただけます。
パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、アンリ・マティス、ピエール・ボナール、フェルナン・レジェ、ジャン・デュビュッフェ、ジョアン・ミロ、ジャン・アルプ、ヘンリー・ムーア

DIC株式会社とムルロ工房

DIC株式会社は1908年に東京・本所の川村インキ製造所として創業し、印刷インキを主軸にグローバルな展開を遂げ、最新の技術によって人々の生活に密着したさまざまな製品を開発・生産するとともに、DIC川村記念美術館の運営を通じて芸術支援を行ってきました。一方、ムルロ工房は商品の包装やワインのラベルなどを製作する町の印刷所から出発し、偉大な画家たちとのコラボレーションによって優れたリトグラフ作品を生み出す芸術工房に発展しました。両者はともに20世紀の出版文化と芸術の歴史を歩んできた存在と言えるでしょう。画家の創意と職人の技術を背景に、商業印刷から芸術作品まで広く用いられたリトグラフという媒体が20世紀に果たした役割を考える本展は、デジタル化の進む21世紀の今日において「化学で彩りと快適を提案する」当社の理念と重なり合うものとして開催する次第です。

一般
1,300円
学生・65歳以上
1,100円
小中学生・高校生
600円

[20名以上の団体(下記料金は1名分)]

一般
1,100円
学生・65歳以上
900円
小中学生・高校生
500円

[障がい者手帳をお持ちの方(+付き添い1名まで同料金)]

一般
1,000円
学生・65歳以上
800円
小中学生・高校生
400円
  • ※学生と65歳以上の割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です。
  • ※美術教育サポートプログラムもご活用ください。(1クラス 3,500円)

過去の展覧会一覧

今まで開催された展覧会の一覧をご覧いただけます。
過去の展覧会一覧