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更新日:2016年9月3日

「トゥオンブリー・ルーム」開設のお知らせ

トゥオンブリー・ルーム

このたび、DIC川村記念美術館では、アメリカ現代美術を代表する芸術家、サイ・トゥオンブリーのブロンズ 彫刻を収集いたしました。今回の作品の収蔵により、当館所蔵のトゥオンブリーの絵画作品《無題》(1968年)とあわせて展示することが可能となり、これを機に「トゥオンブリー・ルーム」を開設することとなりました。 「ロスコ・ルーム」とともに、コレクションの新たな見どころとしてご高覧頂ければ幸いです。

作家について

サイ・トゥオンブリー(1928-2011)はロスコやポロックらアメリカ抽象表現主義と呼ばれる巨匠たちの次世代を代表する画家で、彫刻、素描、写真作品においても優れた業績を残しました。トゥオンブリーはヴァージニア州レキシントンに生まれ、ボストン美術学院、ニューヨークのアート・ステューデンツ・リーグで絵画を学び、その後、 多くのアーティストを魅了したブラック・マウンテン・カレッジの 講座に参加し、1951年、23歳で実質的なデビューを飾ります。落書きのような線描と独特な画面構成により一躍注目され、60年代後半からは、グレイ・ペインティングとよばれる背景がグレイの地にクレヨンなどでドローイングを重ねた作品や、自らが傾倒していたギリシャ・ローマ神話の神々の名前を書き込む記述性を重視した絵画の制作により、さらに評価を高めました。1952年に初めてローマを訪れ古代文明に魅了された トゥオンブリーは1957年にイタリアに移住します。以降、世界各地を巡りながら追随を許さぬ独自の絵画や彫刻作品を創造し続け、「孤高の詩人」と評されました。

サイ・トゥオンブリー《無題》

サイ・トゥオンブリー《無題》1968年
家庭用塗料、クレヨン、カンヴァス 200×259㎝
©Cy Twombly Foundation

新収蔵作品について

本作は作家の人生において極めて重要な作品であったことが知られています。このブロンズの原型となった作品は1966年に旧友エリザベス・ストークスに贈るため、木製の台座と石膏を材料として制作されました。その後、1980-81年に2本の枝を追加、素材の脆弱さによる保存の問題もあり、1990年にエリザベスの希望を受け、作家は5点のブロンズに鋳造しました。本作はエディション1/5であり、エリザベスが長く手元に置いていたもので、作家の人生に密着した特別な作品といえるでしょう。

サイ・トゥオンブリー 《無題》

サイ・トゥオンブリー 《無題》1990年
ブロンズ 113.5×50×50㎝
©Cy Twombly Foundation

トゥオンブリーの彫刻作品について

83歳でその生涯を閉じたトゥオンブリーは、1946年に彫刻の制作を始めましたが、その作品数は絵画や素描に比べ少なく、作品に対する真摯な姿勢を示すかのように寡作であったといえます。作家の繊細な眼差しと感性によって導かれた彫刻作品は、記憶の余韻とともに封印され、日常的でありながらも、象徴性を伴い、プリミティヴでありながら、どこか高尚さが感じられる、味わい深い作品となっています。