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小林正人×奈良美智
トークイベントを開催しました

描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき」展の関連プログラム第一弾として、小林正人氏(画家)と奈良美智氏(画家・彫刻家)のトークイベント「画家だから、木枠を踏み出す、踏みこえる」が開催されました。
台風19号の接近により一度は開催を見送りましたが、11月9日(土)に振替開催が実現しました。

はじめに小林氏から、学生時代からこれまでの作品、その作品の裏側、展示方法や制作現場などをスライドでご紹介いただき、その制作過程や思いなどをお話しいただきました。

次いで奈良氏のスライドでは、学生時代から制作し続けてきた立体作品を中心にご紹介いただき、素材や制作していく中での思いの変化、絵画と彫刻の違いなどについて語っていただきました。

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小林正人氏(左)、奈良美智氏(右)

終盤では来場者からの感想や質問も交えながら、トークの内容はさらに過去や近況にも発展しました。日ごろから親交のある作家たちとのユーモラスなやり取りのお話には会場も和み、そんな中にもお互いの尊敬の念ある温かさが感じられました。

「絵画」や「彫刻」をテーマに始まったトークイベントではありましたが、お二人とも制作に対する葛藤や深く真摯な想いを率直にお話しくださり、内容は美術から視覚・聴覚・触覚などの五感にも拡がり、さらには生きることや人生のテーマにまでつながる大きなお話を来場者のみなさんと共有できた時間となりました。

イベント後にお二人からいただいた「描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき」展へのコメントをご紹介します。
 

蝋燭の灯りで描いていたレンブラントは絵を絵の中だけで完成出来ただろうけど、世界がどんどん明るくなっていくピカソ以降になれば、画家は絵の外側と内側と、行ったり来たりする。
この展覧会を見て、それが必然だっていうことがわかった。俺の絵も、どこからどこまでが絵なのか、わからない。でもこの星の絵なんだ。

― 小林正人(画家)
 

画家と彫刻家はどこか違うな、と思うことがよくあった。彫刻には重力とか材料の性質とか、作り方の順序とかいろいろ制約がある。それをクリアしないとできない。絵はわりと自由がある。この展覧会の作家たちはみんな画家で、デ・クーニングなんて絵の方が断然いいけど、彫刻家が作らないような人体も作ったんだね。それが後の絵に活かされる、ってことがあるから面白い。

― 奈良美智(画家・彫刻家)

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