言語と美術
―平出隆と美術家たち

2018年10月6日(土) - 2019年1月14日(月・祝)

時間:
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜(ただし10月10日、12月24日、1月14日は開館)、10月9日(火)、12月25日(火)-1月1日(火)
主催:
DIC株式会社
協力:
多摩美術大学、横田茂ギャラリー
後援:
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会

入館料

  • 一般 1,300円
  • 学生・65歳以上 1,100円
  • 小中学生・高校生 600円

団体(20名以上):

  • 一般 1,100円
  • 学生・65歳以上 900円
  • 小中学生・高校生 500円

障害者手帳をお持ちの方
(付き添い1名まで同料金):

  • 一般 1,000円
  • 学生・65歳以上 800円
  • 小中学生・高校生 400円

※各種割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要です

概要

平出隆(1950~ 詩人、多摩美術大学教授)は、数々の詩集を世に問うとともに、国際的なベストセラーとなった小説『猫の客』で広く知られています。近年は執筆にとどまらず、本そのもののあり方を探究しながら、最小限の形態による出版物を手がけ、自身の著作にまつわる写真を使ってデザインし印刷するポストカードのプロジェクトも行っています。これらは世界的な美術家たちとの深い対話から生み出された実践といえます。

本展は、平出隆によって立てられたこれまでにない観点から、「言語」と「美術」が鋭く交差するところに生まれる「対話」の多様な形態に注目し、DIC川村記念美術館の収集作家を含む美術家たちについて、作品に関わる言葉や出版物などとともにあらたな光を当てることをめざすものです。言葉が通常のかたちから離れ、造形性を伴いながら拡散してゆく独自の概念「空中の本」を踏まえた会場構成は、建築家青木淳が担当します。

[出品作家:ジョゼフ・コーネル、ドナルド・エヴァンズ、加納光於、河原温、中西夏之、奈良原一高、岡崎和郎、瀧口修造、若林奮 ほか]

平出隆よりメッセージ

よく「美術家は言語を使わずに制作する」 と言われますが、それは少し単純にすぎる見方ではないでしょうか。卓越した美術家たちは、彼らの選びとる物質や観念の内部から、人類がまだ使わなかった言語を精妙に聴き出してくるからです。しかも、彼らひとりひとりから、それぞれに異なる無二の言語が発せられる。そのような言語を聴き取りたい。そのような言語は、私たちの思考よりさらに先を行き、私たちを豊饒な美と知の世界へと導いてくれるものですから。建築家の青木淳さんが、世界初という「透明梁」を設計して、この言語を展覧会会場の「空中」につかまえて見せてくれます。

Photo: Takashi Mochizuki

ひらいで たかし

1950年、福岡県生まれ。一橋大学卒。詩人・作家・批評家。その詩は散文との重層領分に及び、『胡桃の戦意のために』(芸術選奨文部大臣新人賞)、『左手日記例言』(読売文学賞)、『猫の客』(木山捷平文学賞)、『ベルリンの瞬間』(紀行文学大賞)、『伊良子清白』(芸術選奨文部科学大臣賞 自装で造本装幀コンクール経済産業大臣賞)など多彩。『伊良子清白全集』編纂をふくむ清白関連全業績で藤村記念歴程賞。ドナルド・エヴァンズ、河原温、加納光於とのあいだに成る美術関連書のほか、《via wwalnuts叢書》や《crystal cage叢書》など、造本や装幀の実験的な仕事もある。大江健三郎により「詩の中から新しい散文を生み出す詩人」とされる。98年度ベルリン自由大学客員教授。多摩美術大学図書館長、教授、芸術人類学研究所所員。尚、本展のベースといえる言語や書物についての著作『遊歩のグラフィスム』(岩波書店)『私のティーアガルテン行』(紀伊國屋書店)がある。

https://takashihiraide.com/

会期中のイベント

トークイベント①

平出隆 × 青木淳(建築家) 
10月13日(土)13:30-15:00 会場=レクチャールーム
要予約9月21日(金)受付開始|定員50名|入館料のみ
 

トークイベント②

平出隆 × 郡淳一郎(オルタナ編集者)× 澤直哉(ロシア文学者)
1月13日(日)13:30-15:00 会場=レクチャールーム
要予約11月30日(金)受付開始|定員50名|入館料のみ
 

詩の音読とギター演奏

平出隆 × 伊藤ゴロー (作曲家、ギタリスト)
11月24日(土)17:30開場、17:45開演(19:30終演予定)
要予約10月26日(金)受付開始|定員100名
一般3,800円、友の会3,300円(当日入館料込み)

本展の監修者/出品作家の詩人・平出隆が、李禹煥の絵画を背景に本展関連の美術家たちについて語りながら、詩や小説やエッセイの朗読をします。詩人のことばに音楽を添えるのは日本を代表するボサノヴァ・ギタリストで、平出へのCDデザイン依頼をきっかけに親交を重ねてきた伊藤ゴロー。ことば・絵画・音楽がひとつの空間で重なる特別な時間をお届けします。

【プログラム】
■第1部
ジョゼフ・コーネル:瀧口修造からコーネルへ捧げられた詩
加納光於:『猫の客』から
中西夏之:『家の緑閃光』から
河原温:『遊歩のグラフィスム』から
 
■第2部
李禹煥:李禹煥の詩
ドナルド・エヴァンズ :『葉書でドナルド・エヴァンズに』から
アルマンド:『ベルリンの瞬間』から
岡崎和郎:『AIR LANGUAGE PROGRAM 草稿』から
奈良原一高+マルセル・デュシャン :『AIR LANGUAGE PROGRAM 草稿』から
若林奮:「丘のくるみへ」  ほか