ジョセフ・アルバースの授業

色と素材の実験室

2023年7月29日(土) - 11月5日(日)

時間:
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜(ただし9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
主催:
DIC株式会社
特別協力:
ジョセフ&アニ・アルバース財団、東京国立近代美術館
協力:
エヒメ紙工株式会社、グリム・エヒメ株式会社、株式会社竹尾、DICデコール株式会社
後援:
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会

入館料

一般 1,800円

学生・65歳以上 1,600円

高校生以下 無料

入館料   一般   学生
65歳以上
  高校生以下
    1,800円   1,600円   無料

※障害者手帳をお持ちの方と付き添い1名 無料

※「学生」は専門学校・予備校の生徒を含みます
※「高校生」は高等専門学校の生徒を含みます
※高校生以上の方は学生証を、65歳以上の方は年齢の証明できるものをご提示ください
※本チケットでコレクション展示もご覧いただけます

概要

ジョセフ・アルバース(1888–1976)は画家、デザイナー、そして美術教師として知られています。ドイツで生まれた彼は、造形学校バウハウスで学び、のちに教師となって基礎教育を担当しました。同校の閉鎖後は渡米し、ブラックマウンテン・カレッジや、イェール大学に勤務。戦後アメリカの重要な芸術家たちを育てました。

アルバースは授業の目的を、「目を開くこと」だと述べています。彼はただ知識を教えるのではなく、学生に課題を与え、手を動かして考えることを促しました。そうして答えを探究することで、色彩や素材のもつ新しい可能性を自ら発見させようとしたのです。そしてアルバース自身もまた、生涯にわたり探究を続けました。そこから生み出されたのが、バウハウス時代のガラス作品から、家具や食器などのデザイン、絵画シリーズ〈正方形讃歌〉に至る、驚くほど多様な作品群です。

本展ではアルバースの作品を、彼の授業をとらえた写真・映像や、学生による作品とともにご紹介します。制作者/教師という両側面からアルバースに迫る、日本初の回顧展です。
 

※会期中に一部展示替えがあります
 前期:7月29日(土)-9月18日(月)
 後期:9月20日(水)-11月5日(日)

見どころ

1.ジョセフ&アニ・アルバース財団の全面的な協力を得て実現する、日本初の回顧展。国内初公開作品を含む絵画や関連資料など、約100点を展観します。


2.画家としてのアルバースのみならず、教育者という側面にもスポットライトを当てます。実験的な授業をとらえた写真や映像、学生の作品もご紹介します。 


3.アルバースの出した課題に挑戦できるワークショップ・スペースを会場内に設けます。学生を夢中にさせた彼の授業を、ぜひ体験してみてください。

展示構成

1章 バウハウス―素材の経済性 (1920–1933

ドイツのヴァイマールに創設されたバウハウスに、アルバースは当初学生として、のちには教師として、閉校時まで携わります。教師として彼が主に担当したのは、専門教育に先立つ、造形のための基礎演習でした。現在ではとりわけ色彩への取り組みで知られるアルバースですが、授業で一貫して重視したのは、素材の性質を把握し、効率よく扱う方法を習得することです。バウハウスではガラス画工房や家具工房でも教え、家具、食器などのデザインを手掛けるほか、ガラス作品も制作しました。

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スタッキング・テーブル 1927年頃
ジョセフ&アニ・アルバース財団
Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art

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《破片の入ったグリッド絵画》
1921年頃 ジョセフ&アニ・アルバース財団
Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art

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作者不詳[バウハウスの学生]《紙による素材演習》
制作年不詳(2023年再制作) 
ミサワホーム株式会社


2章 ブラックマウンテン・カレッジ―芸術と生 (1933–1949

バウハウスが閉校してまもなく、アルバースは創立されたばかりの学校、ブラックマウンテン・カレッジから招聘を受け、妻のアニとともにアメリカに移住します。リベラルアーツ教育を目指した同校では、芸術がカリキュラムの中心に位置づけられていました。この新しい環境で、アルバースは自然物を素材として課題に用いるなど、より先進的な課題を授業に取り入れていきます。この地で過ごした約15年間は、抽象絵画や版画にも取り組み、後の展開につながる重要な時期となりました。

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リーフ・スタディ I 1940年頃
ジョセフ&アニ・アルバース財団
Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art

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作者不詳[ブラックマウンテン・カレッジの学生]
マチエール(黄色い四角が塗られた石、紙)1940年代頃
ジョセフ&アニ・アルバース財団

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《3つの茶色+黄土色》1948–57年
ジョセフ&アニ・アルバース財団
Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art

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《プリズムのような II》1936年
ジョセフ&アニ・アルバース財団
Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art


3章 イェール大学以後―色彩の探究 (1950

1950年、アルバースはイェール大学に着任します。この頃から、彼は色彩への取り組みで知られるようになっていきました。彼の色彩課程では、さまざまな色の錯覚を作り出すことが求められ、学生たちは試行錯誤しながら課題と向き合うことで、色彩をより正確に見て、選び出す経験を積みました。

一方、この年から20年以上にわたって続けられた絵画シリーズ〈正方形讃歌〉は、正方形による決まったフォーマットに色彩を配置した作品で、隣接する色同士がさまざまな効果を生み出しています。色彩を移ろいやすいものと考え、そのはたらきを動的に捉えようとするアルバースの探究が、ここには反映されているといえるでしょう。画家としての彼を一躍有名にしたこのシリーズとともに、主著『色彩の相互作用』(邦題:『配色の設計』)にも使われた学生の作品を展示することで、アルバースの色彩への取り組みを再考します。

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《正方形讃歌のための習作:針葉樹の中心》1961年

公益財団法人アルカンシエール美術財団 / 原美術館コレクション

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《正方形讃歌》1952–54年 
DIC川村記念美術館

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イェール大学で色彩の授業を行うアルバースと学生
1952年 撮影者不詳 ジョセフ&アニ・アルバース財団
Courtesy of the Josef and Anni Albers Foundation
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作者不詳[イェール大学の学生]色彩演習
1958–60年頃 ジョセフ&アニ・アルバース財団
Courtesy of the Josef and Anni Albers Foundation


4章 版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉 (1972

1972年、アルバースは版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉を出版します。過去に制作した作品を元にした、集大成ともいえるこの版画集から、本展では15点をご紹介します。各作品にはアルバース自身のテキストが付されており、それらをイメージと共に読むことで、彼の造形に対する思考や色彩への探求を追体験できるでしょう。

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〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉第II集の2(《アクアリウム》)1972年
東京国立近代美術館 (後期のみ展示)


作者について記載のないものはジョセフ・アルバースの作品
© The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217

アルバースの授業に挑戦 !

アルバースの課題に挑戦できる常設のワークショップ・スペースを設けます。実際に手を動かし挑戦してみることで、色の不思議さや楽しさを再発見できることでしょう。ヒントとなる解説動画もご用意しています。

課題1 色のマジック:1つの色が2つに見える
課題2 3色の世界:同じ色から違う世界が生まれる
課題3 透明のトリック:透けていないのに透けて見える
課題4 ひだ折りの練習:しなやかな紙が立ち上がる

※8月19日(土)はイベント会場となるため、13:30から15:30まで一部スペースを制限させていただきます。予めご了承ください。

※アルバースと学生たちは、新聞、雑誌や包装紙など、身近なものを活用して課題に取り組みました。 本ワークショップでは色彩や印刷等に関わる4社からご協力をいただき、紙のアップサイクルにも取り組んでいます。 (協力:エヒメ紙工株式会社、グリム・エヒメ株式会社、株式会社竹尾、DICデコール株式会社) 

会期中のイベント

※詳細は随時更新いたします

講演会 〈要予約〉

①ブレンダ・ダニロウィッツ(ジョセフ&アニ・アルバース財団チーフ・キュレーター)
「新しい方法で見る:ジョセフ・アルバース、教師そして芸術家」
7月29日(土) 13:30-15:30
定員50名|入館料のみ
受付開始:会員6月30日(金)、一般7月5日(水)


②沢山遼(美術批評家)
「ジョセフ・アルバースと形態群の芸術」
9月23日(土) 13:30-15:00
定員50名|入館料のみ
受付開始:会員8月25日(金)、一般8月30日(水)
 

学芸員によるギャラリートーク 〈要予約〉

8月12日(土)、9月17日(日)、10月20日(金) 各日11:30より
館内受付にて当日9:30より随時受付(先着35名)
入館料のみ


ガイドスタッフによる定時ツアー 〈要予約〉

毎日14:00より
館内受付にて当日9:30より随時受付(先着20名)
入館料のみ
 

ワークショップ :
インタラクション・オブ・カラー ──色の相互作用を体験する 〈要予約〉

永原康史(グラフィックデザイナー、ジョセフ・アルバース『配色の設計』監訳者)
8月19日(土) 13:30-15:30
定員30名|中学生以上対象|参加費1,000円
受付開始:会員8月2日(水)、一般8月5日(土)
 

ラーニング :
アルバースの授業に挑戦 !
 〈要予約〉

亀山裕亮(本展担当学芸員)
8月10日(木)、26日(土)、9月9日(土) 、16日(土)、29日(金)、10月9日(月・祝)、21日(土)、28日(土)
各日11:30-12:15 ※課題は毎回異なります
館内受付にて当日9:30より随時受付(先着15名)
小学生以上対象|入館料のみ
 

コンサート :
サウンドミュージアム・オブ・テルミン
 〈要予約〉

ザ・ぷー=街角マチコ(テルミン)、街角マチオ(ギター&ボーカル)
10月14日(土) 17:45開場 / 18:00開演
一般5,000円、会員4,500円 *当日入館料込み
受付開始:会員8月11日(金)、一般8月23日(水)

カタログ情報

ジョセフ・アルバースの授業
色と素材の実験室

A5判上製/352ページ
3,850円(税込)

執筆:ブレンダ・ダニロウィッツ/永原康史/沢山遼/亀山裕亮
デザイン:木村稔将、阿部原己(Tanuki)

館内の茶席では、和菓子作家 坂本紫穗さん監修による本展の特別メニューをご用意しています。季節ごとに替わる2種類のオリジナル和菓子をお楽しみください。

抹茶と和菓子 1,000円(税込)

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「色彩演習」
提供期間:7月29日(土)-9月3日(日)
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「正方形讃歌」
提供期間:9月5日(火)-11月5日(日)